ローリング☆ガールズ WIT STUDIO 2015 |
監督:出合小都美 |
脚本:むとうやすゆき キャラクター原案・イメージボード:tanu キャラクター設定・総作画監督:北田勝彦 音楽:横山克 キャスト:小澤亜李・日高里菜・種田梨沙・花守ゆみり・藤村歩 |
『ローリング☆ガールズ』は、2015年1月から3月まで毎日放送などで放送された、WIT STUDIO制作のオリジナルアニメです。
1クール全12話と短めの作品ですが、基本構成は1エピソード2話でした。
本作を語る上で欠かせないのが、「THE BLUE HEARTS」です。
1995年に解散した伝説的なパンク・ロックバンドで、本作ではとにかくたくさんの曲が使われていました。
サブタイトルも、すべてが「THE BLUE HEARTS」の曲名になっていました。何かあったのかと理由を知りたくなるくらいの、「ブルーハーツ推し」です。
「THE BLUE HEARTS」は、良い曲が多いです。
本作で使われているのは原曲ではなく、主要キャラクター演じる「THE ROLLING GIRLS」(小澤亜李、日高里菜、種田梨沙、花守ゆみり)によるカバーですが、こちらもいい。
ですので、「推し」を鬱陶しく感じることはないんじゃないかと思いますね。
「THE BLUE HEARTS」を知っている方は改めてその良さを感じることができますし、知らなかった方には、良い出会いを与えてくれる作品になっています。
『ローリング☆ガールズ』概要
『ローリング☆ガールズ』の舞台は、10年前に東京大決戦という戦いが発生した架空の日本です。
決戦の結果、日本の各地域は独立。独自に発展を続けました。
独立した各地域には自警団が存在しており、モサと呼ばれる特殊能力者が率いています。
主人公森友望未が住む所沢国にも「日吉町プロペラーズ」という自警団が存在しており、望未もそこに所属。ただし立場は新米研修生というもので、主人公でありながらモサでありません。
所沢国には、マッチャグリーンというモサがいます。各地の「ご当地モサ」は、基本的に自分たちの地域の秩序を守るために戦っているのですが、マッチャグリーンが他のモサと少し違っているのは、平和請負人という側面を持っているところ。
そのため、全国から紛争解決の依頼が届くのですね。
ただ、所沢国は隣国の東村山国と構想を続けており、その戦いの中でマッチャグリーンは負傷してしまいます。
療養中のマッチャグリーンに代わって各地の紛争を解決することを決意した望未は、小坂 結季奈、響 逢衣、御園 千綾とともに旅に出ます。
『ローリング☆ガールズ』の魅力1:使われている曲がとにかくよい
『ローリング☆ガールズ』の魅力の一つとして挙げられるのが、曲の良さです。
「THE BLUE HEARTS」の良さ、と言ってしまってもいいかもしれません。本作では、とにかくたくさん「THE BLUE HEARTS」の曲が使われています。
- OP:「人にやさしく」
- ED:「月の爆撃機」(第4話のみ「能天気」)
挿入歌
- 「1000のバイオリン」
- 「英雄にあこがれて」
- 「ながれもの」
- 「TRAIN-TRAIN」
- 「シャララ」
- 「ネオンサイン」
- 「青空」
- 「夕暮れ」
- 「終わらない歌」
OPの「人にやさしく」や挿入歌の「TRAIN-TRAIN」は、他のアニメやドラマ、映画、CMなどにも多く使われているので、聞いたことがあるという方もいるかもしれません。
「THE BLUE HEARTS」の活動期間は1985年~95年で、本作の放送の20年も前に解散しているんですけどね。そういう昔のバンドの曲が繰り返し使われている、という事実も、曲の良さを示していると思います。
本作で使われているのは主演声優4人によるカバーですが、それでも十分、良さは伝わるのではないかと思っています。
サブタイトルまで「THE BLUE HEARTS」
なお、『ローリング☆ガールズ』では、OP、ED、挿入歌だけでなく、サブタイトルもすべて「THE BLUE HEARTS」の曲名になっています。
熱狂的な「THE BLUE HEARTS」ファンが、趣味丸出しで作った作品みたいにも思えてきます。
- キング・オブ・ルーキー
- 世界のまん中
- 英雄にあこがれて
- 夢
- 期待はずれの人
- 電光石火
- 星をください
- 雨上がり
- 夜の盗賊団
- NO NO NO
- 情熱の薔薇
- 未来は僕等の手の中
この中だと「情熱の薔薇」が、「THE BLUE HEARTS」の代表曲の一つです。CMなどでも使われている曲なので、聞いたことがある人も多いかもしれません。
本作で「THE BLUE HEARTS」いいな、と思ったら、探して聞いてみるのもいいんじゃないかと思いますね。
ここに出ていないタイトルにも、名曲がたくさんあります。
『ローリング☆ガールズ』の魅力2:ヒロイン4人は「モブ」

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『ローリング☆ガールズ』のもう一つおもしろいところは、主人公森友望未を始めとするヒロイン4人が「モブ」と位置付けられていることです。
本作でのモブとは、モサの対義語に当たります。
特殊能力を持つモサと違って、何の能力も持たない一般人がモブというわけですね。
望未は主人公なのに、モサではありません。望未と一緒に旅をする、小坂 結季奈や響 逢衣、御園 千綾も同じです。
でもだからこそ、応援したくなるのですね。
特別な力を持たないのは、我々(本作を見ている大部分の視聴者)も同じです。モサかそうでないかで言えば、そうでない人の方が圧倒的に多い。
だからこそ、望未たちに共感を覚えますし、彼らに願いを託してしまうわけです。
「モサでなくても、できることはあるはずだ。そういう姿を見せてほしい」
そして実際に望未たちは、それを実現して見せてくれるのですね。
この「平凡な主人公たちが、大きな仕事を成し遂げる」というところは、『ローリング☆ガールズ』のわかりやすい魅力となっています。
モブによって持ち込まれるメタ視点
『ローリング☆ガールズ』において、「モブ」にはモサの対義語という意味が与えられています。
しかし一方で、モブ自体は本作に限定されない一般的な用語でもあります。
その場合の意味は「その他大勢」。
メインはもちろん、サブにも慣れないようなキャラクターたちのことですね。
同じ言葉を使っているだけあって、本作におけるモブにもこの意味が混じっています。
「(モブだから)いつも吹き飛ばされている」というようなセリフからも、それをうかがい知ることはできます。
ただ、一般的な意味で使われるモブというのは、本来は第三者的視点(アニメなら視聴者視点)において使われるものです。物語を外から眺めたときに使える言葉であって、登場人物が自分で自分をモブと呼ぶのはちょっとおかしい。
どんな人であれ、自分の人生の主役が自分自身であることは、変わらないですからね。それは物語の登場人物であっても、同じはずです。
しかし本作では、そこにあえて自らをモブと呼べてしまうような定義(モサの対義語)を持ち込んでいる。
それによって導入されるのは、物語を外から眺めるメタ視点です。これが本作の非現実性を際立たせ、引いてはコミカルさを強く印象付けることにもつながっている。
この「モブ」という言葉の二義性がもたらす効果も、『ローリング☆ガールズ』という作品のおもしろいところです。
実は望未たちはモブではない?
この項の最初に、「望未たち4人はモブに位置付けられている」と書きました。
ただ、厳密な意味では、彼女たちはモブでありません。
モサの対義語、という意味では確かにモブです。しかし一般的な意味では、彼女たちはモブではないのですね。
彼女たちはこの作品の主人公であり、メインキャラクターでもあるからです。
モブがメインキャラクターになるはずがないですし、メインになった瞬間、そのキャラクターはモブではなくなりますからね。
それでも本作を見ていると、彼女たちが「その他大勢」であるかのように錯覚させられてしまいます。
そこが、モブという一般用語を作品に持ち込んだ本作のおもしろさなんだろうと思います。
『ローリング☆ガールズ』の魅力3:カラフルで躍動感のある映像
色使いが華やかで、戦いの場面に躍動感があるのも『ローリング☆ガールズ』の魅力です。
バトルシーンはやはり、モサ同士の戦いがいいですね。
ここはモブでは如何ともしがたいところですし、またその彩りの豊かさは物語のコミカルさを盛り立てる一助にもなっていると思います。
印象的だったのは、第8話「雨上がり」におけるミサイル飛び交う清水寺でのロックフェスの場面。
ここはアニメならではと感じました。
『ローリング☆ガールズ』まとめ
『ローリング☆ガールズ』は、コミカルで、曲がいい作品です。
「THE BLUE HEARTS」の曲がほとんどですが、知らなくても楽しめます。
dアニメストアやU-NEXTのお試し期間を利用すれば、無料で全話見ることもできると思います。
全12話と短めで見やすいので、興味を持った方はぜひご自身の目で確かめてみてください。
タイトル | 『ローリング☆ガールズ』 |
放送 | 2015年1月11日 -3月29日 |
放送局 | 毎日放送ほか |
話数 | 全12話 |