DARKER THAN BLACK -流星の双子- ボンズ 2009 |
監督:岡村天斎 |
脚本:吉野弘幸・岡田麿里・大西信介・菅正太郎 キャラクター原案:岩原裕二 キャラクターデザイン・総作画監督:小森高博 音楽:石井妥師 キャスト:木内秀信・花澤香菜・桑島法子・沢木郁也・水樹奈々 |
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』は、『DARKER THAN BLACK ー黒の契約者-』の続編にあたる作品です。2009年10月から12月に、MBS・TBS・CBCで放送されました。

一部スタッフに変更があるものの、ボンズ制作、岡村天斎監督というところは『黒の契約者』と同じです。
ただ、『黒の契約者』は全26話だったのですが、こちらは全12話の1クールとなっており、そのせいなのか、『黒の契約者』のような1エピソード2話の構成はなくなっています。
作品自体の印象も『黒の契約者』とは、少々異なるものとなっています。そのため続編ではあるものの、『黒の契約者』のような作品を期待すると、物足りなさを感じるかもしれません。
なお、『黒の契約者』と本作をつなぐエピソードとして、『DARKER THAN BLACK ー黒の契約者- 外伝』という作品が存在します。
- DARKER THAN BLACK -黒の契約者-
- DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 外伝
- DARKER THAN BLACK -流星の双子-
『黒の契約者』は当然として、『外伝」も本作の前に見ておくことをおすすめします。
『黒の契約者』のラストから本作までの間にだいぶ状況は変わっていますので、『外伝』を見ておくと、すんなり物語には入っていけると思います。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』概要
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』は、『黒の契約者』の第25話から2年後の世界が描かれています。
「契約者」や「ドール」、「地獄門(ヘルズ・ゲート)」といった設定はそのまま引き継がれており、変わりがありません。
主人公は『黒の契約者』と同じ黒(ヘイ)ですが、本作ではもう一人蘇芳(すおう)・パブリチェンコというロシアと日本のハーフで、13歳の少女も主人公に据えられています。
蘇芳はロシア・ウラジオストクで、父・ミハイルと双子の弟・紫苑とともに普通の少女として暮らしていました。
ところが友人のターニャが契約者になってしまった日から、彼女の日常は一変します。
ロシア連邦保安庁の強行捜査を受けて、バラバラになってしまうパブリチェンコ家。わけがわからないまま、蘇芳も各国の諜報機関から追われる身となってしまいます。
黒もまた蘇芳の持つ「流星核」を狙ってロシアを訪れていたのですが、彼女と行動を共にすることになります。
紫苑が残したメッセージから彼が向かった場所を知った蘇芳は、ウラジオストクを後にし、黒とともに東京を目指す旅に出ます。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』の特徴1:自己考察的な側面は控えめ

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『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』と、第1期に当たる『黒の契約者』との違いの一つは、自己考察的な側面が控えめになっている点です。
『黒の契約者』では契約者やドール、ゲートといった設定に対して、作品の中で言及したり、考察したりする場面が多く見られました。
こちらにも書きましたが、『黒の契約者』第20話「あさき夢見し、酔いもせず…後編」における、黒と教祖アルマの会話などに、それはよく表れていたと思います。
この「自らの設定に対して、自己言及的に考察を加えていく」という部分は、『黒の契約者』の大きな魅力でした。
しかし本作『流星の双子』では、そうした側面は薄くなってしまったように感じます。
理由として考えられるのが、「本作では序盤から、物語に明確な目的が与えられている」という点です。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』という物語を貫く目的
「目的地:東京」は、その一つです。
本作では、主人公の蘇芳と黒が、ウラジオストクから東京を目指す旅の様子が描かれます。「東京に行く」という各話を貫く目的が、設定されているのですね。
これは、『黒の契約者』にはなかった側面です。
『黒の契約者』はエピソードの独立性が高く、目的もエピソード単位で設定されていました。
また、イザナギやイザナミ、三鷹文書といった、本作で新たに登場する謎もそうです。
『黒の契約者』にも謎は存在しました。契約者やドール、ゲートといった存在そのものがそうですね。
ただ、それらは謎めいた存在でありながらも「既にあるもの」として認知されており、その正体を解き明かすような物語にはなっていませんでした。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子-』は、違います。
イザナミや三鷹文書の正体を明らかにすることが目的となっており、これが「東京を目指す」と同じように、各話を貫いてもいました。
「外向き」の意識が強くなり、内省が控えめに
これら「目指すべきもの」の存在が、本作の意識をより外向きなものにしていたように感じます。
その分、『黒の契約者』にあった内省的な側面が薄れてしまっていました。
シリーズ第2期なので、1期と同じことをしても仕方がないというのはその通りなのかもしれません。
でも個人的には、その自己考察的なところが『黒の契約者』の大きな魅力だと思っていたので、そこがあまり感じられなくなってしまったのは少々残念でした。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子』の特徴2:「未熟さ」が目につく
『黒の契約者』との違いとしてもう一つ感じたのは、「未熟さ」が目立つというところです。
未熟というのは、もちろん作品そのものの出来のことではありません。
主人公の一人、蘇芳・パブリチェンコの未熟さのことで、それが作品の空気に大きく影響しているように感じられます。
『黒の契約者』は、成熟した大人たちによる物語でした。
登場人物の多くは職務に忠実なプロフェッショナルばかりでしたし、それが契約者の「合理的判断」と相まって、ドライでありながらも魅力的な雰囲気を作り出していたと思います。
本作でも、契約者やエージェントはプロです。また、「合理的な判断」も健在です。
しかし主人公であるだけに蘇芳の影響は大きく、状況に振り回される彼女の戸惑いやストレートすぎる感情、人道主義的な側面が物語に大きく出てしまっているように感じました。
『黒の契約者』では考えられなかったようなウェットな部分が出てしまっており、それが黒にまで及んでしまっているのも首を傾げたくなるところではありました。
13歳の蘇芳が未熟であることも、純粋な契約者ではない黒に感傷的な部分が残っていることも、設定上は不自然ではないんですけどね。
ただ、『黒の契約者』の雰囲気を期待して見始めたので、そうした部分から物足りなさは感じてしまいました。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子』の特徴3:「哀しさ」は失われていない
失ってしまったものがいくつかある一方、そうでないところももちろんあります。
『黒の契約者』の特徴に、「哀しみ」を抱えた物語という点がありました。
これについては、本作にも共通して感じられる箇所があったと思います。
具体的には、以下のようなところです。
- 第5話、第6話の北海道でのエピソード
- 契約者になってしまった友人ターニャとの関係
- 終盤で明かされる衝撃の真実
特に3つ目は、物語の印象をがらりと変えます。
ただ、「哀しみ」は確かにあったものの、『黒の契約者』にあったような「喪失」はほぼ感じられませんでした。
1つ目に挙げた北海道でのエピソードは例外的で、これについては『黒の契約者』と似たところが感じられました。
しかしそれ以外の部分に、「人生の哀しみ」みたいなものはなかったですね。
ここもまた、『黒の契約者』の魅力だっただけに、そこが失われてしまったことは残念でした。
『DARKER THAN BLACK ー流星の双子』まとめ
最初の方で、蘇芳・パブリチェンコを「もう一人の主人公」と紹介しましたが、実質的には本作は彼女の物語だったと思います。
『黒の契約者』は黒の物語だったので、そこが大きな違いとなって表れていました。
黒と比較すると、蘇芳は未熟であり、ウェットでもあるため、それが作品の雰囲気に大きく影響しています。
そのため、『黒の契約者』のドライな雰囲気を期待して見始めると、「ちょっと違う」と感じるかもしれません。
ただ、描かれているのは『黒の契約者』の2年後なので、設定や世界観は共通しているし、おなじみのキャラクターも登場します。
黒や猫(マオ)、桐原未咲といった主要登場人物だけでなく、久良沢凱や茅沼キコも登場しますので、『黒の契約者』が気に入った方は、ぜひ自分の目で確かめていただければと思います。
第1期『DARKER THAN BLACK ー黒の契約者-』は当然として、『DARKER THAN BLACK ー黒の契約者- 外伝』も本作の前に視聴しておくのが良いでしょう。
いずれも、dアニメストアやU-NEXTのお試し期間を利用すれば、無料で全話見ることもできると思います。
タイトル | 『DARKER THAN BLACK -流星の双子-』 |
放送 | 2009年10月8日 -12月24日 |
放送局 | MBS・TBS・CBC |
話数 | 全12話 |