『ラーメン大好き小泉さん』感想・レビュー|旨そうなラーメンを見ていると底抜けに腹が減ってくる

ラーメン大好き小泉さん
Studio五組・AXsiZ 2018
監督:セトウケンジ
原作:鳴海なる
シリーズ構成:高橋龍也
キャラクターデザイン:谷拓也
音楽:田中貴& 細野しんいち
OPテーマ:鈴木みのり「FEELING AROUND」
EDテーマ:西沢幸奏「LOVE MEN HOLIC」
キャスト:竹達彩奈・佐倉綾音・鬼頭明里・原由実

まんがライフSTORIA』に連載されていた、鳴海なるの同名漫画を原作とするテレビアニメです。制作はStudio五組・AXsiZで、2018年1月から3月までAT-XやTOKYO MXで放送されました。

「連載されていた」と過去形で書きましたが、原作はこの記事を書いている2023年9月の時点でまだ続いています。過去になったのは掲載誌の方で、2019年7月に休刊になってしまいました。

掲載作品は『ストーリアダッシュ』という竹書房の配信サイトに移っており、『ラーメン大好き小泉さん』もそちらで連載が続いています。

ラーメン大好き小泉さん』。

タイトルは、その昔シャ乱Qが歌っていたあの曲から取ってるんですかね。一文字変えただけですし、水に関係する言葉という点も共通していますしね。

「いやいや、オリジナルはそっちじゃなくて、藤子不二雄作品に登場するあの人、天然パーマで眼鏡をかけた、いつもラーメンすすっているあの中年男性のことだろ? シャ乱Qの歌も、元はあの人だろ?」

と思ったそこのあなた。あの人、本当は「鈴木さん」というらしいですよ。

勘違いされがちな「小」がつく方は、鈴木さんが下宿している家の名字なんだそうです。

本作とは全然関係ない話ですが。

『ラーメン大好き小泉さん』概要

基本はタイトル通りで、ラーメンが大好きな小泉さんが、色々な場所でラーメンを食べるグルメアニメです。

小泉さんは女子高校生で、ある学校の謎めいた転校生として登場します。

美人なのに無口で無表情、何を考えているかわからない小泉さん。

そんな小泉さんに興味を抱くのが、クラスメートの大澤悠です。ある日、ラーメン屋の行列に並んでいる小泉さんを見かけ、思わず一緒に並んでしまいました。

そこで接点ができ、小泉さんとの交流が生まれることになります。

『ラーメン大好き小泉さん』レビュー

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とにかくラーメンが食べたくなる

一番の感想は、やっぱりこれです。出てくるラーメンがとにかくうまそうで、見ていて食べたくなってきます。夜中に見ない方がいいですね。あと、夏もやめた方がいいです。

私がこの作品を見たのは真夏、それも猛暑日が過去最高日数を記録した2023年(令和5年)の夏でした。

温かいラーメンなんて見たくもないような季節のはずだったんですが、それでも本作を見ているとラーメンを食べたくなってしまいました。

食べたら暑くて大変なことになると、わかってはいたんですけどね。食べずにはいられなかったです。

本編にも夏のエピソードはあって、そこでは小泉さんたちは冷やしラーメン(冷やし中華ではなく、冷たいラーメンです)を食べていたのですが、登場するラーメンの大半は温かい方ですからね。やはりそちらが食べたくなってしまいました。

見る季節を選ぶアニメというのもあまりないですが、本作に関しては涼しい時期、秋か冬がいいんじゃないかと思います。

そのくらい、ラーメンが食べたくなる作品です。

ラーメンもいいが、食べている姿もいい

ラーメンそのものを描くのに非常に力が入っている作品ですが、それを勢いよくすする姿もまた本作の魅力です。

小泉さんは普段は髪を縛っていないのですが、ラーメンを食べるときにはこれを一つにまとめます。その姿がいい。これから合戦に臨む武将のような気合が感じられます。

そこから勢いよくどんぶりに箸を突っ込み、つかみ上げた麺を口に含み吸い込んでいく。ヌーハラなる造語が一瞬話題になったこともありましたが、そんなものどこ吹く風とでも言わんばかりに、ズルズルと音を立てまくって食べます。

これがまた心地いい。見ているだけで、腹が減ってきます。

もちろん、スープも最後まで飲み干します。塩分なんて気にしません。そんなもの気にしていたら、おいしくラーメンは食べられないですからね。

食べっぷりという意味では、小泉さんの大食ぶりにも惚れ惚れさせられるところがあります。

見た目は食の細そうな美人女子高校生なのに、いわゆる「二郎系」の大盛りラーメンをペロリと平らげるなんて当たり前。1日に数杯食べることもざらで、エピソードによっては10杯近いラーメンを食べているときもあります。

それでも涼しい顔をしている小泉さん。この「たくさん食べる」というのも、見ている我々の食欲を刺激する要素の一つですね。『孤独のグルメ』の井之頭五郎も大食漢でした。

いっぱい食べている人の姿は、見ているこちらも気持ちよくなってきます。

よりおいしい食べ方を教えてくれる

小泉さんはラーメンマニアなので、ラーメンに関する知識は豊富です。

また、普段は無口なのですが、ラーメンのこととなると熱くうんちくを語る場面もあります。知識の範囲は味や素材に留まらず、ご当地ラーメンの発祥にまで及ぶのですが、その一つとして目を引くのが「食べ方」です。

ラーメンによっては、出されたものをそのまま食べるだけでなく、ひと手間加えたよりおいしく味わえる食べ方も紹介してくれます。

ラーメン大好き小泉さん』に登場するラーメン屋の多く(全部?)は、実在しています。そのため実際にその店に行って、同じ食べ方を試してみることができるんですよね。

これもまた、『ラーメン大好き小泉さん』という作品の魅力だと思います。

登場するラーメンのバラエティが豊富

ラーメン大好き小泉さん』が取り上げるラーメンは、オーソドックスなものばかりではありません。

夏の暑い日のエピソードでは冷やしラーメンが登場しますし、ミドリムシのラーメンやトマトラーメンといった変化球から、スープの色が変わるラーメンといったかなり特殊なものまで出てきます。

また、これは個人的にかなり好感を持ったのですが、小泉さんは専門店で出されるラーメンだけに価値を感じているわけではありません。

悠が作ってくれた家ラーメンもおいしそうに食べますし、コンビニの冷凍麺やカップ麺も食べます

袋麺を調理して出してくれる店に行ったかと思えば、回転寿司のラーメンまで出てきてしまいます。

どんなラーメンに対しても、小泉さんは真摯です。専門店のラーメンでないからといって、決してないがしろにしたりはしません。

家ラーメンには家ラーメンのおいしさがあり、冷凍麺やカップ麺には冷凍麵やカップ麺なりのおいしさがある。専門店のラーメンだけが、ラーメンではない。

そんな姿勢に、マニアとしての懐の大きさと、ラーメンに対する深い愛が感じられます。

小泉さんに執着する悠

小泉さんは女子高校生ですが、一人でラーメンを食べに行くことをまったく苦にしていません。

そのため、ラーメン友だちみたいな相手も必要としていません。一人でカウンターに座り、一人でラーメンを注文し、一人でラーメンをすすります。

ラーメンは一人で楽しみたいと思っている節さえあります。ですから、小泉さんがラーメン大好きであることを知ったクラスメートの大澤悠が一緒に食べに行こうと誘っても、「お断りします」のひと言でにべもなく断られてしまいます。

ラーメン以外に対するこのそっけなさは、小泉さんの大きな特徴です。だからこそ、ラーメンを食べたときの恍惚の表情が一層際立ちます。

そんな小泉さんに対して、異常なまでに執着するのが悠です。ストーカー顔負けの彼女の行為は、ラーメン一色に染まりがちな本作のアクセントと言っていいでしょう。

鋼鉄のメンタルの持ち主である悠は、小泉さんにどんなに邪険にされてもまったくめげません。

小泉さんが好きすぎるあまり、当たり前のように尾行をしたり、話してもいないのに訪れたラーメン屋を把握していたり、電車の窓から通りを歩く小泉さんを発見したりします。

ストーカー顔負けではなく、ストーカーそのもの、と言った方が正しいくらいかもしれません。

そんな悠のふるまいが、本作ではコミカルに描かれています。

『ラーメン大好き小泉さん』まとめ

とにかく見ているとラーメンが食べたくなる作品です。

ラーメンそのものもいいですし、食べている姿もいい。

1話に1~3エピソード描かれているので、一つのエピソードは短いです。

それは、裏を返せばそれだけたくさんのラーメンが登場するということでもあります。

気軽に見ることができます。が、繰り返しになりますが季節だけは注意しておいた方がいいかもしれません。

真夏に見ると、暑いのに熱いラーメンが食べたくなるというジレンマに陥ってしまいます。

タイトル『ラーメン大好き小泉さん』
放送2018年1月4日 -3月22日
放送局AT-X、TOKYO-MXほか
話数全12話
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この記事を書いた人

アニメとサッカーを見るのが好き。
累計視聴数は400本を超えていて、今も増え続けています。

作品を見て、感じたこと、考えたことを書いています。