「積録」消化日記の2回目。
今回は、2013年に放送された『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』を4日かけて見たときの記録だ。
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』はテレビシリーズだけで4期まで制作されており(2024年11月時点)、本作はその記念すべき第1期に当たる作品となる。
ちなみにシリーズを順番に並べると、
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ‼
となっており、ドイツ語の数字と期が微妙に合っていない。「第2期がツヴァイなら第3期がドライで、第4期がフィーアじゃないの?」と言いたくなるところだが、『ツヴァイ!』の次が『ツヴァイ ヘルツ!』になっているのだ。そして第4期が『ドライ‼』なのである。ここは少々ややこしい。
この作品、実はちょっと敬遠していた。キービジュアルやタイトルのフォントなんかを見て、キャラクターでゴリゴリ押してくる、あざとさ全開の魔法少女ものなんじゃないかと、勝手に想像していたからだ。
「敬遠してるくせに、録画してるのかよ!」と言われたら確かにその通りで、何なら第4期までしっかりHDDに残っているのだが、そこは「Fate」シリーズというのが大きく影響した。『Fate/stay night』は良かったし、『Fate/Zero』もおもしろかった、それなら『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』もおもしろかろう、という考えで録画した次第だ。
なお、今回見てみてわかったのだが、僕の先入観は的外れもいいところだった。
内容は思った以上に「Fate」で、個人的には、そっちで良かったと思う。
【1日目】第1話を見る
「『Fate/stay night』は良かったし、『Fate/Zero』もおもしろかった」
とか書いておいて何なのだが、実は本作以前に見たことのある「Fate」シリーズは、この2作品しかない。
しかも『stay night』は、スタジオディーン制作の2006年版のみである。
さらに言ってしまうと、「Fate」シリーズに、他にどんな作品があるのかもあまりよくわかっていない。そのため、本作のような外伝作品で見覚えのないキャラクターが出てくると、「どこか別の作品に登場しているんじゃないか」と考えてしまう。知らないのは自分だけなんじゃないかという、不安に駆られるのだ。
本作でもさっそく、見覚えのない金髪縦ロールの高飛車女が出てきた。すまん、誰だっけ、君?
ただ、ここでちょっと別の不安を感じてしまうのは、『Fate/stay night』も『Fate/Zero』も見たのは随分昔で、記憶がかなり薄れてきてしまっている、というところである。
ひょっとすると僕が忘れているだけで、どちらかの作品に出てきていたのかもしれない。もしそうなら、何だか申し訳ない。申し訳ないが、やっぱり記憶にはない。
主人公のイリヤや彼女の義理の兄の衛宮士郎、イリヤの担任藤村大河に、縦ロールと揉めていた遠坂凛なんかははっきり覚えているので、出てきていたとしても目立たない脇役だったんじゃないかと思う…… でもそれなら、本作でここまで存在感のある役を与えられるだろうか?
不安を抱えたまま、初日の視聴を終える。
【2日目】第2話から第5話まで見る
Fate版『カードキャプターさくら』
クラスカードとやらを回収するのが、新たに魔法少女になったイリヤの目的らしい。
カードを集める魔法少女と言えば、『カードキャプターさくら』である。すなわち本作は、Fate版『カードキャプターさくら』ということになる。
クラスカードには、「Fate」ではおなじみの「英霊」の力が宿っている。これと戦って倒さなければ、カードの回収はできないらしい。この戦って倒してカードを回収、というところは『カードキャプターさくら』と同じだ。
やはり、本作はFate版『カードキャプターさくら』だ。
魔法少女の見せ場の一つと言えば、変身シーンだ。でも、本作ではそうはならないらしい。恥ずかしい、とのことで、イリヤはわざわざ隠れて変身している。ここも『カードキャプターさくら』と同じだ。というより、『カードキャプターさくら』にはそもそも変身がなく、主人公木之本桜が行っていたのは大道寺知世が作った衣装への着替えだった。
でもまあ、変身シーンがないというところは共通している。間違いない。本作はFate版『カードキャプターさくら』だ。
まだある。本作の重要アイテムであり、主人公イリヤが振り回していたカレイドステッキのデザインだ。カレイドステッキと書かれると何のことやらわからないが、要は魔法の杖である。本作ではそう呼ぶそうだ。
普通の魔法の杖との違いは、こいつが喋ったり、自らマスターを選んだりするところで、さすがにそういう設定は『カードキャプターさくら』にはなかった。ただ、先っぽに星の付いた杖は、「さくらカード編」のときに木之本桜も使っていたので、同じと言えるだろう。
これはもう、疑いようもない。『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』は、どこからどう見てもFate版『カードキャプターさくら』だ。
またもや出てくる見覚えのないキャラクター
遠坂凛からの一通りの状況説明が終わると、今度はライバルが出ていた。美遊という名前の、イリヤと同年代の魔法少女だ。またもや見覚えがなく、不安に駆られる。彼女もまた『Fate/stay night』にも『Fate/Zero』にも、出てきていなかったと思う。多分。
もう一人の出自不明、金髪縦ロールの方の名前をようやく覚えることができた。ルヴィアというらしい。正式にはもっと長いようだが、みんなルヴィアと呼んでいるようなのでそれで事足りそうだ。
イリヤの持っているカレイドステッキの名前がルビーなので、ルビーとルヴィアでちょっと紛らわしい。
初登場時の美遊は、イリヤにあまり友好的ではなかった。凛とルヴィアも犬猿の仲のようだし、これはあれかな、イリヤ・凛組と美遊・ルヴィア組でカード集め競争が始まるのかな、そういえば『カードキャプターさくら』でも「クロウカード編」でそんなようなことやってたな、などとしつこく『さくら』との類似点を探してたら、思ったより早い段階で「Fateといえばあのお方」が出てきて、びっくりする。
「あのお方の登場あるなら、もっとラスボスみたいな扱いじゃないの?」と思っていたからだ。でもまあ強さはラスボスクラスだったので、満足する。気が付くと「あのお方」がどう描かれているのかが気になり過ぎていて、イリヤたちの方はどうでもよくなってしまっていた。
【3日目】第6話、第7話、第8話を見る
「あのお方」との戦いは、まだ続いている。他の英霊たちが1話とか、短いと0.5話くらいしか尺が与えられていない中、3話に渡って出番を与えられているのは破格の待遇といっていい。
スピンオフや外伝の場合、原作(原典)の主人公たちに大した役割が与えられていなかったりする場合も多いが、本作はそうではない。大暴れと言っていいくらいだ。もちろんそれが可能なのは、敵役として登場しているからなんだろう。でも、このくらい活躍させてくれる作品の方が個人的には好みである。
とか何とか考えているうちに、終盤っぽい展開が始まる。本作は全10話と短いので、まとめに入るのも早い。イリヤと美遊の距離が、短い間に近づいたり、離れたりしていた。どうやら二人の関係が、終盤の軸になるようだ。ここはあんまり『カードキャプターさくら』と似ていないな、と思う。
【4日目】第9話と第10話を見る
最後もやっぱり英霊との戦いはある。相手は、イリヤと最も縁が深い、ヤツだ。確かに、イリヤが主人公なら締めくくりはヤツにするのがふさわしい。納得のチョイスだ。
展開は王道だが、一つ引っかかったのは、それまでまったく出番のなかったイリヤの母親のアイリが、この終盤になって突然登場することだ。ここはどこまで予習が済んでいたか、で印象が変わってくるところだったと思う。
特に重要なのは、『Fate/Zero』だ。
『Fate/stay night』さえ履修しておけば結構見ることができてしまう本作だが、アイリについてだけは『Zero』を見て事前に知識を入れておかないと、唐突に感じてしまったかもしれない。
イリヤの母親アイリは、『stay night』には登場しなかった、はずだからだ。多分。
おわりに
一応、全部見終えた後にルヴィアと美遊の初出について「ピクシブ百科事典」で調べてみたところ、
- ルヴィアは『Fate/hollow ataraxia』で正式に登場
- 美遊は『プリズマ☆イリヤ』のオリジナルキャラクター
ということのようだった。忘れていたわけではなかったので、ひとまずほっとしている。
『Fate/hollow ataraxia』は、2005年に発売された『Fate/stay night』の続編に当たるゲーム作品らしい。アニメ化はされていないようだった。