今回は、『RDG レッドデータガール』(2013年 P.A.WORKS)を取り上げます。
- 古風で派手さはない
- アニメ的ではない?
- 自然描写が繊細
『RDG レッドデータガール』は、人によって好みの分かれる作品という気がしました。
この作品は、原作である荻原規子の同名小説を忠実に映像化しようとしたものだと思っています。
ただ、おそらく原作はアニメ化を意識して書かれたものではないと思うんですよね。
最初に出版されたのも、角川スニーカー文庫ではなく角川書店ですからね。
そのため、小説であれば問題なくても、アニメとしては古風で、派手さに欠けるところがありました。
この点が、好みが分かれると考えた理由の一つです。
一方で、作画が細かく、特に自然描写が繊細という点もありました。
「古風で派手さに欠ける」ところが気にならない人は、楽しめる作品だとは思います。
『RDG レッドデータガール』概要
RDG レッドデータガール
放送 | 2013年 |
話数 | 全12話 |
制作 | P.A.WORKS |
原作 | 荻原規子(角川書店) |
監督 | 篠原俊哉 |
脚本 | 横手美智子 |
キャスト | 早見沙織 内山昂輝 福山潤 米澤円 |
『RDG レッドデータガール』は、山伏や神霊、陰陽師が登場する和風ファンタジーです。
時代は携帯電話やインターネットも存在する現代。
主人公鈴原泉水子(いずみこ)や、泉水子と同い年の相楽深行(みゆき)は、物語開始当初は中学生。途中から鳳城学園という学校の高等部に進学して、高校生となります。
霊能力者が在籍する学校
鳳城学園は普通の学校とは違い、霊能力を持った生徒が複数在籍しています。
泉水子もその一人。「姫神」という謎の存在が憑依する家系の生まれで、霊的なものを見たり、感じたりすることができます。
「姫神」の力はとても強く、泉水子の潜在能力は学園でもトップクラスです。しかし彼女自身はそうした自分の能力を嫌がっており、「普通の女の子になりたい」といつも思っているのですね。
ただ、泉水子のそうした願望を満たすのは簡単ではありません。
彼女に憑依する「姫神」は人類の運命を握るような存在だからです。
パートナーであり、サポート役でもある相楽
引っ込み思案で、少し頼りないところのある泉水子。
その泉水子のパートナーであり、サポート役のような存在が相楽深行です。
山伏の家系である相楽は、彼女の下僕となることを父・相楽雪政に強制されて、渋々泉水子のところへやってきました。
初めは泉水子にきつく当たる深行でしたが、「姫神」の真実を知るにつれて、その態度に変化が生じていきます。
この泉水子と深行の関係の進展は、本作の見どころの一つになっています。
『RDG レッドデータガール』レビュー1:古風で派手さはない

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『RDG レッドデータガール』で特に感じたのは、古風で派手さのない作品という点です。
舞台が現代なのに古風というのは一見すると矛盾しているようですが、本作でそう感じたのはむしろ時代設定が現代だからかもしれません。
その一番の原因は、セリフです。
とにかく言葉が堅い。
文語的だったり、現代の日常会話ではちょっと使わないような言い回しがしばしば登場するんですよね。
昭和中期以前の映画やドラマで使われていたような言葉、と言ってもいいかもしれません。
これについては、原作の会話をそのまま使っているからかな、とも思いました。小説だと、そこまで不自然には感じない気がするからです。
ただ、映像で見るとやはり昔の作品を連想してしまって、古さを感じずにはいられませんでした。
また、神社や山伏、神霊といった『RDG レッドデータガール』の世界観も、そうした印象を強めていたようにも思います。
派手さのない主人公
『RDG レッドデータガール』に派手さがない一因は、主人公鈴原泉水子にあると思います。
眼鏡に三つ編み、という容姿からもわかる通り、泉水子は地味です。
性格も引っ込み思案で、序盤は特に臆病で人任せなところも目立ち、その点を相楽から指摘されたりもします。
泉水子は、霊能力者としては非常に高い才能を持っています。
ですが、「姫神」のことを隠しておかなければならない、という事情もあるため、それを前面に押し出して問題解決、といった場面もあまり多くはありませんでした。
パートナーである相楽の方が行動的で、状況に巻き込まれがちな泉水子を助けたりもします。
ただ、相楽の方は霊能力者としての実力が高くないのですね。そのためこちらもやはり、派手さには欠けます。
『RDG レッドデータガール』には泉水子の精神的な成長を描く、という側面もあるので、彼女の序盤の性格に問題があることには情状酌量の余地があるとは言えます。
ですが、その泉水子の成長も結果的には、
- 「普通になりたい」という彼女の願望
- 「姫神」にかかわる問題
の解決につながるわけではないので、あまり効果的とは感じられませんでした。
『RDG レッドデータガール』レビュー2:アニメ的ではない?
『RDG レッドデータガール』を見ていてもう一つ感じたのは、この作品はあまりアニメ的ではないのかもしれない、という点です。
理由はやはり、派手さに欠けるからです。
『RDG レッドデータガール』は、既に書いたように霊能力者が登場する物語です。ただ、霊能力を駆使したバトルのような、アニメや漫画で好まれるアクションシーンは発生しません。
本作における霊能力はもっと抑制的で、秘められたものと考えられており、前面には出てこないのですね。
小説であれば、これで問題ないと思います。視覚イメージに頼れない小説で、派手なアクションシーンを多用してもあまり効果的とは言えないでしょう。
ただ、これがアニメとなるとやはり少々物足りなさを感じてしまいました。
原作をもっと脚色すべきだったのか
「アニメとして物足りない問題」を解消する方法の一つは、原作の脚色ですね。
原作に手を加えることで、アニメに向いた形にすることはできるでしょう。
ただ、それは行き過ぎると原作の改変になってしまいますし、「原作を忠実にアニメ化する」ことを目指しているのだとしたら、採用できない手段にはなってしまいます。
原作をいじるのが難しいとなると、取れる手段は「アニメ化に向いている作品を原作に選ぶこと」だけとなってしまいます。
そう考えると、『RDG レッドデータガール』は原作がそもそもアニメ的ではなく、それをそのままアニメ化してしまったことで物足りなさが生じてしまったのかもしれません。
『RDG レッドデータガール』レビュー3:自然描写が繊細
ここまで、派手さに欠け、アニメ向きではなかったかも、と書いてきた『RDG レッドデータガール』ですが、背景で描かれている自然は描写が繊細で、美しかったです。
『RDG レッドデータガール』は、
- 熊野古道の山の上にある神社
- 東京西部、高尾山近くにある学園
- 長野の戸隠神社近辺
といった自然の多い場所が主な舞台となっており、背景に神社の古い建物や葉の茂った緑の木々、草花が描かれることが多いです。
この背景の自然描写に非常に力が入っているのですね。
細かいところまで描きこまれていて、他ではちょっと見られないくらいの繊細さがありました。
この作画の美しさは、『RDG レッドデータガール』の大きな魅力の一つという気はします。
『RDG レッドデータガール』レビュー:まとめ
本記事では、『RDG レッドデータガール』について書きました。
- 古風で派手さはない
- アニメ的ではない?
- 自然描写が繊細
本作を見て気になったのは、やはり原作ですね。
原作にどのくらい近いのか。とにかくそこばかりが、気になりました。
原作全6巻のうち、アニメ化されたのは5巻までの内容なので、アニメの続きを知る意味でも原作を読んでみるのはありかもしれません。
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本記事の情報は、2022年5月15日時点のものです。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
今回は、以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。