ぴりおだです。
Jリーグのクラブが出場する国際大会と聞いて、真っ先に思い浮かぶのがACL。
アジアチャンピオンズリーグ、と呼ばれることもあるこの大会、正式名称は、
AFCチャンピオンズリーグ
と言います。
AFCとは、アジアサッカー連盟のこと。
世界に6つあるサッカー大陸連盟のうちの1つです。
- アジアサッカー連盟(AFC)
- アフリカサッカー連盟(CAF)
- 欧州サッカー連盟(UEFA)
- オセアニアサッカー連盟(OFC)
- 北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)
- 南米サッカー連盟(COMNEBOL)
※なお、これらのサッカー連盟は国際サッカー連盟(FIFA)の傘下にあります。
今回は、このアジアサッカー連盟が主催するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)について、紹介します。
目次
アジアNo.1クラブを決める大会がACL

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)をひと言で言うと、
その年の、アジアNo.1クラブを決める大会
ということになります。
といっても、アジアのクラブならどこでも出場できるというわけではありません。
出場資格が与えられるのは、
アジアサッカー連盟(AFC)に加盟している国・地域(正確には加盟しているサッカー協会)の、リーグ戦、カップ戦の上位クラブ
に限られます。
すなわち、出場できるのはアジア各国の強豪クラブだけなのです。
ちなみに大陸No.1を決める同様の大会は、他の5つの大陸連盟にも存在しています。
- CAFチャンピオンズリーグ
- UEFAチャンピオンズリーグ
- OFCチャンピオンズリーグ
- CONCACAFチャンピオンズリーグ
- CONMEBOLリベルタドーレス
この中で、特に有名なのはUEFAチャンピオンズリーグですね。
ヨーロッパは世界のサッカーの最高峰であり、世界中から有名選手が集まります。
そのヨーロッパにおけるNo.1を決める大会であるだけに、UEFAチャンピオンズリーグの王者は、事実上の世界No.1クラブと言われることもあります。
(実際には、クラブ世界一を決める大会として、クラブW杯という大会も存在してはいるんですけどね)
ACLの出場クラブ数
ACLは2021年から大会の拡大が予定されているため、2020年までと2021年以降で出場クラブ数が変わります。
- 2020年まで:32クラブ
- 2021年から:40クラブ
なお、ここはACLとUEFAチャンピオンズリーグなどとの違いなのですが、アジアは非常にエリアが広いため、ACLでは、準決勝までは地域を東西に分けて大会が開催されます。
そのため出場クラブ数も東西で別に割り当てられており、日本も所属する東地区の出場クラブ数は、
- 2020年まで:16クラブ
- 2021年から:20クラブ
となっています。
出場枠が与えられるのはランキング12位まで
ACLの出場枠は、すべての国・地域(サッカー協会)に与えられているわけではありません。
AFCに加盟しているサッカー協会は、47もありますからね。
すべての国に1つずつ与えても、出場クラブ数は40を超えてしまいます。
出場枠が充てられるのは、AFCクラブコンペティションランキングの東西各上位12位まで。
2021年大会の東地区の場合、各国の出場枠は次の通りとなっています。
- 中国 3+(1)
- 日本 3+(1)
- 韓国 2+(2)
- タイ 2+(2)
- オーストラリア 1+(2)
- フィリピン 1+(1)
- 北朝鮮 0+(0)
- ベトナム 1+(0)
- マレーシア 1+(0)
- シンガポール 1+(0)
- 香港 1+(0)
- ミャンマー 0+(1)
()はプレーオフの出場枠です。
また、北朝鮮はランクでは7位ですが、ACLライセンスを保持しているクラブが存在していないため、出場枠が与えられません。
※AFCクラブコンペティションランキングは、こちらのAFC公式サイトで確認ができます(英語のサイトです)。
日本からは最大4クラブが出場
日本からは現在、最大4クラブが本大会に出場可能です。
出場権が与えられるクラブは、前年のJ1リーグと天皇杯の成績によって決まり、基本的には、
- J1リーグ1位~3位のクラブ
- 天皇杯優勝のクラブ
となっています。
ACLの出場枠については、「ACL、日本の出場枠は? 出場権が与えられるのはどんなクラブ?」という記事で詳しく紹介しています。
ACLの開催期間
ACLは、毎年2月~11月の期間に開催されています。
2021年はコロナ禍の影響があり、本大会は4月下旬~11月の開催となっています。
試合が行われるのは、火曜日もしくは水曜日。
週末は、国内リーグの試合が組まれている国が多いため、開催できません。
日本も同様で、Jリーグだけでなくルヴァンカップ、天皇杯など、他の大会と開催期間が重なっています。
そのためACLに出場するクラブは、日程が過密になりがち。
ルヴァンカップについては、
- グループステージ
- プレーオフステージ
が免除されますが、それ以外の大会はACLに出場しないクラブと同じだけの試合数をこなさなければならないため、勝ち進むほどにスケジュールが厳しくなっていきます。
※ルヴァンカップの大会方式(グループステージ、プレーオフステージ等)については、「ルヴァンカップってどんな大会? 出場クラブは? シードはある?」という記事で詳しく紹介しています。
決勝まで勝ち進んだ2019年の浦和の場合、10月下旬から11月上旬にかけて、17日で5試合(うち1試合はサウジアラビアでのアウェー)という強行日程を強いられました。
2019年10月下旬~11月上旬の浦和
日 | 大会 | 対戦相手 |
10/23 | ACL準決勝第2戦 | 広州恒大(中国) |
10/29 | J1リーグ第31節 | 広島 |
11/1 | J1リーグ第30節 | 鹿島 |
11/5 | J1リーグ第31節 | 川崎 |
11/9 | ACL決勝第1戦 | アル・ヒラル(サウジアラビア) |
ちなみにこの5試合の浦和の成績は、1分4敗という惨憺たるものでした(これについては日程だけでなく、当時の浦和のチーム状況も関係していますが)。
ACLの大会方式
ACLは大きく分けて、次の3つのステージが存在します。
- プレーオフ
- グループリーグ
- 決勝トーナメント
プレーオフはACL本大会ではなく、本大会出場をかけた予選です。
グループリーグからが、本大会となります。
また、既にご紹介した通り、ACLは準決勝までは東西に分かれて試合が行われるため、
- プレーオフ
- グループリーグ
は、完全に東西別での実施となります。
プレーオフ
ACLのプレーオフは、
- 予選1回戦
- 予選2回戦
- プレーオフラウンド
という、3回戦制で実施されます。
ただし、プレーオフ枠で出場したすべてのクラブが、1回戦から参加するわけではありません。
ここでもAFC協議会ランキングが関係していて、ランキング下位国(協会)のクラブほど、プレーオフの初めの方から出場する必要があります。
日本や中国のようなランキング上位の国の場合、出場はプレーオフラウンドから。
すなわち、1回勝てば本大会出場権が得られる、ということになります。
グループリーグ
ここからが、ACLの本大会です。
グループリーグは、
出場全クラブを4クラブずつのグループに分けて、ホーム&アウェー方式による2回戦総当たりのリーグ戦
という方式で実施されます。
グループ数は、次の通り。
- 2020年まで:8グループ
- 2021年以降:10グループ
2021年からの出場クラブ数の増加に伴って、グループ数も増加します。
東西の出場国は同数に設定されているので、それぞれの地区のグループ数はこの半分になります。
すなわち東地区のグループ数は
- 2020年まで:4グループ
- 2021年以降:5グループ
となります(西地区も同様です)。
決勝トーナメント進出条件
2020年までは、各グループ2位までが決勝トーナメントに進出していました。
2021年以降の大会は、出場クラブが増える関係で、
- 各グループ1位
- 2位のうち各地区上位3クラブ
が決勝トーナメントに進出します。
決勝トーナメント
決勝トーナメントは、グループリーグを突破した16クラブによる、
ホーム&アウェーによる2回戦制
で実施されます。
2021年はコロナ禍の影響で、
- 1ヶ所での集中開催
- 準々決勝までは1発勝負
となります。
2戦合計で、得点数が多い方が勝ち抜き。同点の場合は、アウェーゴール方式が適用されます。
なお、準決勝までは、グループリーグ同様東西別での実施。
決勝で初めて、東西のクラブが対戦することになります。
- 準決勝までで、東西それぞれの地区王者を決める
- 決勝は地区王者同士によるアジア王者決定戦
と考えると、わかりやすいかもしれません。
なお、UEFAチャンピオンズリーグの場合、決勝が中立地での一発勝負となっていますが、ACLでは決勝でもホーム&アウェー方式が採用されています。
そのため、優勝の決まる試合が、遠くアウェーの地だったりします(2008年のG大阪や、2018年の鹿島がそうでした)。
ACLはどこで観られる?
下記の中継情報は、2020年までのものです。
2021年以降のACL中継は、放映権の問題もあり、まだ決まっていません。
ACLは、日本テレビ系の地上波、BS、CSで視聴が可能です。
- 無料:地上波(日本テレビ系)、BS日テレ
- 有料:日テレG+、日テレNEWS24、日テレプラス
ただ、無料チャンネルでの中継は、極めて限定的です。
ACLをたっぷり楽しみたいなら、有料CSチャンネルの契約をおすすめします。
ACL視聴方法の詳細は、「【サッカー】ACL、どこで中継している? 無料で視聴も可能?」という記事で紹介しています。
クラブW杯との関係

ACLの優勝クラブには、クラブW杯への出場権が与えられます。
クラブW杯とは、
各大陸のチャンピオンズリーグ優勝クラブが出場する、クラブ世界一決定戦
のことで、この大会最大の魅力は、UEFAチャンピオンズリーグの優勝クラブと真剣勝負できる可能性があること。
UEFAチャンピオンズリーグの優勝クラブと言えば、事実上世界最強クラブですからね。
そのクラブに挑戦できるというのは、ヨーロッパ以外の国々のクラブにとって、滅多にないチャンスであるわけです。
クラブW杯はACL同様、2021年から方式変更が決まっていたのですが、コロナ禍の影響で延期となりました。
主な変更内容
- 毎年開催から、4年に1度の開催へ
- 出場クラブ数を7から24へ拡大
2021年大会は従来通りのフォーマットで、年末に日本で開催されます。
JリーグとACL
J1リーグとACL、どっちを獲る?
どちらも獲れるのが一番良いのは、もちろんです。
ですが、どちらかを選べ、と言われたら、これはちょっと難しいところがあるかもしれません。
国内3大タイトルでの比較なら、こちらの記事でも紹介した通り、J1リーグになるんですけどね。
個人的には、
- 実利を獲るなら、J1リーグ
- ロマンを獲るなら、ACL
になるかな、と思います。
優勝賞金こそACLがJ1リーグを上回りますが、その他の収益を合わせるとJ1リーグの方が圧倒的に多いですからね。
ACLの魅力は、アジアNo.1クラブの称号とクラブW杯の出場権というところでしょうか。
クラブW杯の出場権も、既にご紹介した通り、怪しいところはありますが。
ACLとJ1リーグ、両方優勝したクラブはない
1つのシーズンで、ACLとJ1リーグ両方を優勝したクラブは、今のところ存在しません。
そもそも、JリーグのクラブがACLで優勝したのは4回しかないのですが、いずれもJ1リーグの方は優勝に届きませんでした。
- 2007年:浦和 (J1 2位)
- 2008年:G大阪(J1 8位)
- 2017年:浦和 (J1 7位)
- 2018年:鹿島 (J1 3位)
このうちACL、J1リーグ両方の獲得に最も近づいたのは、2007年の浦和です。
最終節で逆転されるまで、J1リーグでも首位に立っていました。
ACLの歴史
ACLが、ACLとして始まったのは2002年からです。
それ以前にも、アジアのクラブによる国際大会は存在していたのですが、それらを発展的に解消することでACLが始まりました。
- アジアクラブ選手権
- アジアカップウィナーズカップ
- アジアスーパーカップ
このうち、アジアカップウィナーズカップはアジア各国・地域のカップ戦優勝クラブが出場できる大会でした。
ACLの出場クラブにカップ戦王者が含まれているのは、このためと思われます。
ACLの歴代優勝クラブ
最後に、ACLの歴代優勝クラブを紹介しておきます。
年度 | クラブ | 国 |
2002-03 | アル・アイン | UAE |
2004 | アル・イテハド | サウジアラビア |
2005 | アル・イテハド | サウジアラビア |
2006 | 全北現代 | 韓国 |
2007 | 浦和 | 日本 |
2008 | G大阪 | 日本 |
2009 | 浦項 | 韓国 |
2010 | 城南一和 | 韓国 |
2011 | アル・サッド | カタール |
2012 | 蔚山現代 | 韓国 |
2013 | 広州恒大 | 中国 |
2014 | ウェスタン・シドニー | オーストラリア |
2015 | 広州恒大 | 中国 |
2016 | 全北現代 | 韓国 |
2017 | 浦和 | 日本 |
2018 | 鹿島 | 日本 |
2019 | アル・ヒラル | サウジアラビア |
2020 | 蔚山現代 | 韓国 |
ACLには東高西低の傾向があります。詳しくは、
という記事で紹介しています。
ACLって、どんな大会:まとめ

本記事では、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)について紹介しました。
出場クラブに大きな負担を強いることから、「罰ゲーム」などと呼ばれた時代もあったACLですが、現在ではACL出場権獲得を目指してJ1リーグ戦を戦うクラブがあるほど、その価値は高まっています。
今後の注目は、ACLとJ1リーグの二冠を達成するクラブが現れるかどうか。
そもそも、ACL優勝がそんなに簡単ではないですからね。
加えてJ1リーグも、となると、巨大戦力が必要となりそうです。